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クロッキーについて考える!そもそも何のためにするのか?考え方のお話
目次
クロッキーを続けると絵がうまくなるってホント?
クロッキーを続けると絵がうまくなるっていうけど…あれってホントなのかニャ?
私もそれ信じてしばらくやってたんだけど…
結論:半分ホントで、半分嘘
ポイントは作業にしないこと+うまく描こうとしないこと!です!
端的に説明しろニャ!
そもそも何のためにクロッキーをするの?
よくネットの記事や講座を見ていると、絵がうまくなりたいなら「クロッキーやデッサンをやりましょう」という記述を見かけます。
一般的にはそれぞれ下記のような技術を培う目的をもって行われていると思います。
クロッキー | デッサン |
---|---|
・素早く全体の形をとらえる力を身に着ける ・複雑な形状を単純な形に置き換え、モチーフの重要な要素を捉える技術を身につける | ・モチーフの構造や性質を見極める観察眼を養う ・モチーフのプロポーションを正確に捉える+質感等を描き分けられるようになる |
こう見ると、一理あるなぁというか、上記の目的を達成できればうまくなれる…という気になってきますよね。
…が。いかんせん、クロッキーやデッサンをしても伸び悩んでいる人って結構多い印象です。
かくいう私もその一人でした。
なぜか?答えは簡単で、何を学ぼうとしているか理解せずただ描き続けてたから、です。
いや上に目的書いてあるだろ!それができるように頑張ればいいんじゃニャいか?
そーなの!でも最初がとっってもつらいんだよ!描いても描いても目標が達成できない…つまり目標達成のための”小さな学び”ができてなかったの!
目標達成のための“小さな学び”とは?
目的のある人が何かに挑むときは、まず何か目標を持ってやることが多いですよね。
例えば絵がうまくなりたい…という目的を持つ人であれば「デッサンを上達させよう、色塗りを上達させよう」という目的に到達するための目標を立てると思います。
でも上記の目標は抽象的で、何をしたらこの目標を達成できるかわかりません。
なのでさらに小さな、具体的な目標を立てます。
例えば「デッサン上達のために毎週一枚デッサンを描こう。色塗り上達のため毎日教本1P読もう」など。
まずはこれでOKです。実践目標ができたので。
しかし実践していくうちに、実際に挑むと思ったより難しいとか、何がわからないのかわからない…みたいな停滞期が訪れます。その時にとりあえず続けてみる…とだらだら続けても成果は出ず、やがて飽きてやめてしまう…。
小さな学び、とは、いわば目標を達成する過程で生まれる問題とその解決によって生まれる気づきのことです。
なぜ目標を設定するのかといえば、目的にたどり着くために必要な事や足りない部分に気づき克服するためです。
しかしただ「絵を毎日描く」のような単調な目標しか立てていない場合、問題の発見とその改善…といった試行錯誤のプロセスより、作業としての側面が強くなっていき、小さな学びが疎かになりやすいのです。
目標を達成するには具体的な達成基準の設定+達成過程における問題の発見と改善の意識が重要です。
つまり考えるのをやめないことが大切ってことです!
なんだと!お前は他人が何も考えてないって言いたいのかニャ!?
そーじゃないよ!でも続けていることって、ただの日課になってきてしまって、だんだん深く考えずやりがちになる傾向ない??
継続し続けるのはとても大事な事。日課として毎日何かを行えるのはとても素晴らしいことです。
しかし、例えば内容が工場の組み立て作業みたいな単純な行為では、ただ組み立てるのが早くなるだけでそれ以外の技能は一向に上がりません。
だからこそ、作業の中に考えるという工程を組み込むことが、何より大切なのです。
つまり…?もっと端的に説明しろ!
ごめんっ…端的に、が難しくて…! とりあえず私の経験談を書きます!
クロッキーで失敗した私の経験談
説明下手なので長くなりがちで申し訳ないのですが…冒頭に書いたとおり私も作業としてクロッキーをしてしまっている側の人間でした。
とりあえず毎日日課としてクロッキーをやるぞ!と意気込んで始めたのはいいものの思ったように上達せず。
でも、当たり前だったんです。だって見えているものしか描こうとしてなかったから。
見えているものを描く、これはデッサンの基本です。
しかし、ただ自分の正面に見えている部分にだけ着目して絵を描き続けても、一向に上達はしません。
モチーフの構造はどんな風になっているのか、どれぐらいの大きさなのか、材質はどんな感じか。
逐一描きながら観察して、色んな角度から見て、自分の見え方の違和感とリアルとの齟齬を埋めてキャンバスに描き出していくという作業が見て描くということです。
でも、これは三次元に実際にものを配置してじっくり時間をかけて描画していくデッサンだからできることです。
クロッキーは長くても10~20分程度でモデルを描画する必要があります。
そうするとじっくり観察する時間はなく、見えた印象をキャンバスに短い時間で抽出していく必要があります。
すると上記のような構造とか材質とかを逐一考えたり観察する余裕はなくて、目に見えた印象を直感で紙の上に書き出していく必要があります。
※とはいえ自分の感覚に頼り切って適当に描けばいいわけではありません。クロッキーでも観察自体はとても大事な要素であることは確かです。
だったら、最初に言ってた見ているものを描く、って別に間違ってなくニャいか?
そうですね。間違いではなかったのですが…一つ勘違いをしていたのです…!
私の基礎画力は、そもそも低いってこと!!
そう、クロッキーはバリエーション豊かな構図や動き、モチーフの印象を短時間で把握し脳に刷り込んでいく過程としてはとても有用です。
ですがこれができるのは、そもそもそのモチーフの基礎が頭に刷り込まれていたりとか、的確にモチーフのバランスや比率を計算して描きだせる基礎画力があるからこそです。
よく考えてみてください。時間をかけて描くデッサンでも形をうまく取れない、比率も間違ってしまう初心者が、クロッキーというデッサンよりよほど短い時間で描かなければいけない描画法でうまくモチーフをとらえられると思いますか?
そんなわけがないのです。下手で当然。うまく描けるわけがないです。
じゃあ、初心者はクロッキーよりデッサンをとにかくやった方がいいのか、というとそれも違います。
綿密に言うと違うわけではありませんが、デッサンばかりするのは時間がかかりすぎるから効率的ではないです。
デッサンはじっくり観察して正しい形や構造を認識していく作業としては適していますが、ものの形や材質、影の落ち方といった立体感までしっかり把握して描かなければいけないので一枚描き上げるのに数時間以上かかります。
初心者は特に訓練からのフィードバックが短いほどやる気も上がるし上達も早いです。フィードバックが遅いと、なんでこんな上達が遅いんだとやる気を失いかねません。
デッサンももちろんやった方が上達にはなりますが、やはりクロッキーの方がフィードバックも早く手ごろなので日々の練習としてはうってつけなのです。
クロッキーで画力を上達させるために大切な事
でも基礎ができてないとクロッキーはうまく描けない。ならどうすればいいか。
そもそも私たちは何のために練習という名目で絵を描くのか。うまく描けるようになりたいからですよね。上達したいから…!
なら別に下手でも構わないはずです。練習なんだから。
問題は、なぜ下手なのか、を考えずただ描くこと。
下手に見えるということは、自分の理想や見え方と何かが違うということ。
描くたびにうまく描けなかった理由を考えることで次はこうしようという工夫が生まれます。
それが積み重なって上達するわけです。
なので、クロッキーを通して上達したいなら、描いた後見返して、反省するというプロセスが何より重要、ということです。
例えば下記の絵を見てください。過去に描いた私のクロッキーと現在のクロッキーの比較です。
過去のクロッキーは線が多く、迷い線が多く感じます。ポーズもぎこちない感じです。
しかし最近のクロッキーの方がすっきりして線が見やすくなって、ポーズの流れを感じやすくなった気がしませんか?
これはどちらも60秒に一体という形で描き進めたクロッキーになります。過去のクロッキーは実のところ60秒に収められず大体2分ぐらいかかっていました…。
形をとることに固執しすぎて、部分部分を描きこみすぎてしまい時間が足りなかったんです。
現在では体の動きやシルエットに着目し、全体を観察してサっとあたりを引いてから、勢いや重心を感じる部分に意識を割くことで描く時間が早くなり、大体時間内に描けるようになってきました。
初期の私はとにかく形をうまく正確に取る&時間内に描くことを目的として描いていました。しかし一向に早く描けないし形も歪んだまま。しかも絵に動きがない。どうすればいいか…。
下記は上記の悩みを改善するために行った取り組みの内容です。
問題点の洗い出し | 改善方法 |
---|---|
時間制限に焦ってすぐ描き始める(観察ができていない) 観察せず描くので、比率が合わず途中で形がどんどん崩れて違和感に気づく 崩れを直すため迷い線をガシガシ描きこんでしまい、汚くわかりにくいクロッキーになる | まずは時間制限なしでじっくり描いて観察して描くクセを付ける 人体の比率を調べ頭に入れておき、それを意識しながら描く 線を失敗しても描きなおさず、まずは一本の線で描くことを意識する |
こういう感じで、問題発見→改善策思案→実行のサイクルを繰り返すことで、自分の苦手を少しずつつ改善しました。
正直問題を発見して改善案を実行しても、すぐにうまくいくわけではありません。
絵の場合、頭で理解していても、もともとのパース感覚と理論とのズレがあったり、理解したつもりが思ったより理解が浅くて何度も描かないと本当の意味では理解できない問題にぶち当たったりすることが何度もありました…。
学校の宿題とかもそうですけど、なぜ課題をやるのかといえば、自分の苦手を把握したり、勉強した内容を頭に定着させるためです。
でもそういう意識を持たず、ただノルマだから提出しないと怒られるからと答えを丸写しにしたり間違っててもいいから適当に解いて埋めたものを提出しても、やった内容はちっとも頭に残らないと思います。
クロッキーも目的を持たずなんか描き続けてたらうまくなるかも…と思って描き続けても意味はありません…
でも、目的をもってやれば、自分の苦手の把握や課題克服の助けになってくれます。
例として、私がクロッキーを毎日やるようになって分かったある気づきについてのお話を記述します。
本当恥ずかしい話なんですが、私は足のポーズがすごく苦手で、昔は結構イメージで描きがちで関節も重心もぐにゃぐにゃの絵を量産していました。
クロッキーをしていても、モデルさんの足が片方でも隠れていると骨盤や足の向きがわからなくなったりして、うーんうーんと呻っては何度も描き直していたのです。
なんでかな…なんでいつもうまくいかないのかな…とか考えながらもクロッキーを続けていたある日。
ようやく気づきました。たとえスカートなどで骨盤の向きが隠れていても、少なくとも片方の足先が出ていれば、親指の方向でどっちの足が前に出ているかはわかります。(靴を履いている時は通用しませんが…)
……当たり前ですよね?
なのに!私は自分でクロッキーのポーズをとって意識するときまでそんな簡単なことに気づくことができませんでした!!
(マジかよこいつ…)
いや冷静に考えたら当たり前のことだったのに、ただポーズを描く事だけに意識してるとその当たり前が抜けちゃったりするんですよね…。これは思考停止で描いていた証拠ですね。そして、私の観察が足りなかったということです。
足先を少しでも観察してれば気付いたはず。でも足の長さやバランスみたいなところばかりに気を取られて根本的な足の仕組みを考えずに描き続けていたから、自分でポーズを取って違和感に気づくまで気付けなかったんです。
躍動感の演出として関節構造に嘘をつくのも時には必要かもしれませんが、演出として嘘を組み込むのと違和感に気づかず描いているというのではまったく意味が違うので、この点は気を付けたいところです。
特に、見えないところって想像して描きがちです。そんな時、頭のなんとなくの感覚に頼ると、思ったように描けない…という人はたくさんいると思います。
そんな時は、モデルさんと同じポーズを自分で試してみることをお勧めします。
自分の想像より関節って曲がるな…とか、曲がらないな…という見てるだけではわからない部分の感覚を味わえます。これは観察をするときの非常に良い参考になります。
(もちろん体の柔らかさ等に個人差はありますので、その点は各々で考慮していただければ幸いです)
観察というのは、ただ見ることではありません。視覚から得た情報を、脳で分析して、どのような仕組みで現在のビジュアルができているのか、何度も描画を試行して自分の考えの中に落とし込む。そこまでできて初めて観察ができているといえます。
ただ見た儘を描くだけでは、モデルがいないと何も生み出せないままです。頭の中でイチから想像するには、モデルがいなくとも、頭の中でどうしたらあのモデルさんのようなポーズを生み出せるのか、自分で構造を思考できる脳を養わなければいけません。それが観察の本当の力だと思います。
ポーズをとるとき、やはり人体には構造的制約や力のかかる方向に寄る重心の動きが出ます。躍動的であるほど、重心の位置などは取りづらくなりますが、モデルさんがとってくれる静止したポーズではだいぶ位置なども決まってきます。
なので、数をこなして、自分でポーズもとってみて、その関係に気づき始めた時、徐々にこんな感じに描けばいい、という重心の位置や人体の構造にも気づいていきます。
クロッキーって、まず本当の初心者の頃は時間内に描けない&見て描いてるのに全然形が取れないってところから始まると思います。
それを乗り越えて数をこなしていくうちに棒人間しか描けなかったのが、だんだんと人の形、どんなポーズをしているかわかる形…とレベルアップしていきます。
クロッキーとかデッサンはいわば筋トレです。
筋トレも、軽い運動から徐々にレベルアップして強度の高い運動へシフトして鍛えていきますよね。
やり方を間違えるとうまく筋肉がつかなかったり、思ったような成果が出ない…という点も似ています。
でも、運動してない人に比べれば、血行が良くなったり、代謝が上がるという恩恵はあったりします。
クロッキーもデッサンも、思うよう描けないにしても、習慣化しておけば少なくとも描くという作業に対するモチベのアップや、線を引くという力の衰えを抑制する作業にはなります。
どんな練習も、成果が出なかったら違う方法を試せばいいだけですから、今までの頑張りが無駄だったな、とか思う前に次はこうしよう!と未来にこれからの情熱を投資していけばいいと思うのです…!
上達してないな、と思っても、今まで続けようとしてきた自分の頑張りたいという気持ち自体は大切にしたいものです。
と、いろいろ偉そうなことを綴りましたが、私もまだまだ上記のことが完璧にできているわけではありません…(汗)
一応画塾に通っていたこともあるので、そこでの教えや美術の授業等での学びは踏まえているものの、ほぼ独学で絵の勉強をしているので、観察力やデッサンについての主張も個人的主観が多めな記事となっております点はご承知おきくださると幸いです…!
ですが少しずつクロッキーを続けてうまくなってきたと思うので、もっと観察力を磨いて世のプロたちに負けない描画力を身に着けられるよう精進していきたいなぁと思っています!
私が具体的に行っているクロッキーの方法については、下記の記事で詳しく解説していますので興味のある方は是非見ていってください。
描画力を上達させるためのクロッキー法とは?自己流クロッキー術を公開! | にいちくりえいしょん!
絵の上達にはクロッキーが最適!(諸説あり)というわけで半年ほどクロッキーを続けるという挑戦をしていました。 クロッキーをなぜやるのか、やった方がよいのか…そういっ…
クロッキーって効果あるのかな、と疑問に思っていたり、伸び悩んでいたり、もう描くのやめちゃいたいなぁ、と思っている人がいたら、この記事が少しでも参考になれば幸いです…!
ここまで読んでいただきありがとうございました!
千里の道も一歩から!自分のペースで頑張って行きましょう~!